筆者はこれまでの言動から、ジミは正か負かで言うなら正側の人物だと思っていたのですが、いかんせんミュウの身体で喋るジミが凶悪すぎて、その印象が揺らいできていたりします。声優さんてすげえな。
まあもちろん、人物の正負なんて、自分にとって都合がいいか悪いかで簡単に変わってしまうものですから、あてになんてなりませんが。
しかしアニメの登場人物を正と判別するか負と判別するかって、どの目線で決めているんでしょうね。その世界のその場所に自分が居るわけでもなく、居たとしたってどの立場なのかわかりもしないのに。
さて、そんなわけで、みんな自分から見て正しいことをしている彼らの物語、アニメ「LISTENERS」九話までの内容をふまえながら考察していきます。
「LISTENERS」あらすじ
『この世界は【ミミナシ】と呼ばれる謎の生命体により、人類はその生活を脅かされていた。ミミナシに対抗することができるのは、戦闘メカ【イクイップメント】とプラグインし、操ることのできる【祈手(プレイヤー)】という能力者のみ。
スクラップの街「リバチェスタ」で暮らす少年・エコヲは、10年前、ミミナシと祈手(プレイヤー)との大きな戦い【フェス】で伝説を残した祈手(プレイヤー)・ジミを目撃して以来、密かに祈手(プレイヤー)に強い憧れを抱きつつも、燻り生きてきた。
しかしある日、いつものようにゴミ山で採掘仕事に励んでいたエコヲは、記憶喪失の少女・ミュウと出逢う。 腰にインプットジャックが空いた彼女もまた、祈手(プレイヤー)の一人だった。
やがて二人は、彼女の出自や、フェスの中心人物でありながら謎多き人物・ジミを追う旅に出る──』(公式サイトより)
九話で描かれたのは、八話の一件が起きたクリスマスの日から数日後のお話(登場人物たちの発言から、おそらく大晦日だと思われます)。
雪の降るロンディニウムの街でエコヲとニルは再会する。ミュウを倒すためにウォッチタワーに潜入するニルと、それを追うエコヲの物語。
ミミナシの妹はミミナシ?
「ジミがミミナシなら、妹のミュウもミミナシだ」
エコヲから事情を聞いたニルは、こう発言していました。
……いや待ってくれ本当に?
八話でジミがミミナシであるという情報が出た際、同じくミュウもミミナシである可能性に、筆者も気付かなかったわけではありませんでした。しかし、まだはっきりとミュウがミミナシであるということは言えないと考えていたのです。
というのも、やはり“ミミナシは元人間である”という事実があったから。
前話の考察で少し述べたように、普通に人間として生を受けたジミが、何らかの原因でミミナシへと変貌した、という流れであったなら、ミュウは妹でありはすれど、同じくミミナシだということにはならなかったはず。
しかしニルはミュウもミミナシだと断言しました。
となると、ジミは特別製で、他のミミナシと違い、生まれながらにしてミミナシだったということでしょうか。家系や血筋によるものだとしたら、ミュウも同じくミミナシであるということに説明が付きます。
なぜそれをニルが断言できるのかは分かりませんが……。
さて、ひとまずミュウがミミナシだと確定したところで。
ニルはこの九話の中で、「僕はプレイヤーだ」という発言を何度かしています。プレイヤーとはミミナシを殺すものだと。
ライドとリッチーを目の前で喪い、ミュウに恨みを募らせるニルでしたが、これでミュウを倒す大義名分ができてしまったことになります。
私怨ではなく、客観的な正当性のある理由によってミュウを殺せるようになったのだと考えられます。
これによって、ニルがエコヲにライドとリッチーの件を話していないのではないかという可能性が出てきます。
状況に流されないキャラクターたち
今話では、場や情に流されるのではなく、自らの目的や信条に合わせて冷静に行動しているキャラクターが多いように感じられました。
まずはニル。
現時点ではニルは、エコヲのことを完全に敵だとは認識していないようです。ウォッチタワー潜入について来、なおかつ「邪魔に来た」というエコヲを(タワー内部を案内するという交換条件があったにせよ)追い返さず、また地下牢に置いて行ったエコヲに「後で来るよ」と言い残したりと、エコヲを敵として排除しようという動きはありません。
加えて、終盤にはエコヲを庇う動きをしたりと、エコヲはミュウを倒すと言うニルを止めようとしていますが、ニルはエコヲに悪感情は持っていないように思えます。
“敵の味方は敵”、ミュウの味方をするのならエコヲも倒す、ではなく、ミュウは敵だがエコヲは友達(エコヲは二話でニルと“友達”になっています)。
感情的になってエコヲを非難するのではなく、冷静に敵味方を判断していると言えます。
また、マーシャルについても同じことが言えます。
マーシャルはペイズリー・パークで出会った人物で、エコヲのバイト先でバイトリーダーをしていました。ロンディニウムで再会しました。
今話でマーシャルは、ウォッチタワーに侵入したエコヲとニルをサリー率いるカウンシル部隊に売るという行為をしました。直前にエコヲは、マーシャルなら助けてくれると信頼して話しているので、これは立派な裏切り行為と言えるでしょう。
「もうこの街じゃ稼げねえな……」
「……アンタ、あいつらの仲間でしょ」
「あ? 誰の仲間でもねえよ。俺はさすらいのバイトリーダー、金のあるところへ群がるだけの男さ」
彼は上手く立ち回って金を稼ぐことを信条としているようだと推測できます。
エコヲを陥れた一方で、エコヲを争いの場から助け出したのはマーシャルで、またエコヲに「一緒に来るか」と声をかけていることから、エコヲ個人に対してはマイナスの感情を向けているわけではない、どころかかなり好感度は高そうです。
交流のある、好感も持てる子供をあっさりと売ってしまえるあたり、彼のしたたかさを感じられますが……。感情よりも理性で物事を判断しているように思えます。
言わずもがな、敵であるトミーも、自分の意志に正直に、冷徹に行動しています。今話では、自らの行為に反対し止めようとするエース元帥を銃で撃つシーンもあり、非人道的な所業にためらいのない様子がうかがえました。
以上のように、今話でのキャラクターは、感情ではなくそれぞれの考えで動く面が強く描写されていたと言えます。
今回明らかになったこと
ティーン・スピリット
ミュウが変貌前に嗅がされたスプレーは、ティーン・スピリットであったことがわかりました。とはいえ、スプレーについてマーシャルが「ここが原産地だぜ」と言っており、これまでに登場したものとは、厳密に同じとは言えなさそうです。四話でキーアイテムになったティーン・スピリットは、ホールとニルが学校内で作っていたものでした。
ウォッチタワーにあったスプレーは、「パープル・ヘイズ」という名前で、ティーン・スピリットよりも強力な薬のようです。
ミュウの意識
本編にはミュウがエコヲに「誰だ? お前」と言い、さらに「邪魔だ」と攻撃するシーンがあります。ミュウの思考にジミの考えが上書きされているというよりは、ミュウの人格そのものがジミになっていると言えそうです。
ところで、細かいかもしれませんが、トミーはミュウの状態を「ジミの復活」と言う割には、ミュウを「ジミ」ではなく未だに「プリンセス」と呼ぶんですよね。
また、ミュウの黒い目は、ジミも出現させていたような描写もありました。演出的に微妙ではありますが、ジミとミュウが持つ特性なのかもしれません。
今後の展開予想
ミュウにペンダントを見せれば正気に戻るかと思っておりましたが、ムリでしたね! 考えてみれば、あのペンダントはミュウのものであると同時にジミのものでもあるようなので、ジミに乗っ取られた(仮)の状態のミュウに見せても仕方がないのかもしれません。
筆者が気になったのは、トミーがエース元帥を銃で撃つシーン。元帥の背後にいる子供たちは平然としているのに対して、サリーが少し衝撃を受けたような、引いたような表情をしていることです。今後エコヲ側に少しだけ助力してくれる展開になったりしないかな。
ニルがトミーに「お前が僕を……プレイヤーを狂わせる元凶だったのか……!」というシーンもありました。これによってミュウへの憎しみもうやむやになってしまうのではないかと思いました。筆者自身はそういった展開は好きではないのですが、もう一人のヒロインであり主人公と言えるニルが、ヒロインであるミュウに憎悪の感情を抱き続けるのは、ストーリー的によろしくないので……ね。
感想
個人的な感想になりますが、少しダルくなってきてしまったなといった感じです。緩慢と言うか。緊迫感に欠ける印象です。(素人考えですが)
ミュウの変貌、ニルとの合流、事件解決が一夜の出来事で、その一夜のストーリーを数話かけていたならよかったのになあと思いながら見ていました。
ともあれ今後、どういった展開になっていくのか。楽しみですね。
ここまでお目通しいただき、ありがとうございました。
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